Thursday August 27, 2009 at 12:17

米国の近代をふり返ってみると、1929年に大恐慌が起こったが、この頃のもっとも富裕層にかかる税率は24%程度だったが、33年には公共投資を実施するために、最高税率を67%に引き上げられている。

 ここで経済格差が小さくなったのだが、戦争による特需もあり、景気は大きく回復することになった。最高税率を上げたおかげで、一般市民の消費性向が増して、テレビや冷蔵庫、洗濯機、自動車などが売れて、各関連企業が空前の利益を上げたのだった。

 つまり貧富の格差が小さく、総中流化した社会のほうが、商品が売れて経済が活性化するということだ。心理学的に見ても、貧富の差が小さい社会のほうが、労働意欲がわき、実績も上がりやすい。

 日本でもほんの十数年前までは累進課税が厳しく、会社員の間でも、部長と平社員の給料の差はほんの数万円程度しかなったが、労働意欲は旺盛であった。マラソンでも前方を走る人の背中が見えれば、ますますやる気が出て、追いつき追い越そうと真剣になるものである。

 それが、貧富の差が開き、年収にも100倍以上の差ができれば、労働意欲や上昇志向が減退して、いまのままの地位で休暇を取ったり、趣味に時間を割いたほうが楽しいという具合になりかねない。

 中には、100倍、1000倍の競争率でも生き残って、ITや金融関連事業で成功者になり、何百億円の資産を手に入れる人もいるが、それは極めて稀な例である。

 そのために、詐欺的な手法を用いたり、脱税まがいの会計手法を使ったり、非合法な企業経営に手を染めることになりかねない。